GNOME
GNOME(グノーム、ノーム[3][4][5]、GNU Network Object Model Environment)は、Wayland又はX Window System上で動作するデスクトップ環境、またはその開発プロジェクトである。KDEと並んで、広く使われている。
GNOME 42 | |
開発元 | GNOME developers |
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初版 | 1999年3月3日 |
最新版 | |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | C言語, XML, C++, C#, HTML, Vala, Python, JavaScript, CSS, その他[2] |
対応OS | クロスプラットフォーム |
種別 | デスクトップ環境 |
ライセンス | GPL & LGPL |
公式サイト |
www |
ツールキットにはGTKを採用している。GNUプロジェクトの一部であり、ライセンスについてはGNOMEライブラリはLGPL、アプリケーションはGPLである。
デスクトップ環境
編集GNOME Shell オーバービューモード
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GNOME Shell
編集GNOME 3.0のアップデートではGNOMEのデフォルトのユーザインタフェースであったGNOME パネルがGNOME Shellに置き換えられ、今までのデスクトップ環境が一新された。
デスクトップの上に新しいタスクバーがあり、左端にアクティビティ、中央に時計とカレンダー、右端に通知メニューとチャットメニューが表示される。「アクティビティ」をクリックするとアクティビティ・オーバービューが起動される。ポインターを画面の左上の端に動かすだけでも起動されるようになっている。アクティビティ・オーバービューでは、開かれているすべてのウィンドウが表示され、画面の左側にお気に入りのアプリケーション、そして上側には検索バーがあり、インストールされたアプリケーションを検索したり、GoogleやWikipediaでのウェブ検索もできるようになっている。
GNOME パネル
編集GNOME 3.0 より前のリリースではGNOME パネルが標準として使われていた。GNOME 3.0以降でも、GNOME パネルは使えるが、GTK2 / bonobo アプレットが使えず、GTK3 / D-Bus パネルを使う必要がある[6]。
Mac風のインタフェースを持つGNOME パネルは、タスク管理をするためにデフォルトでデスクトップの上下にバーを表示するようになっている。上のバーには、左端にメニュー、ランチャ、右端に時計が表示される。下のバーには、アプリケーション毎のウィンドウが表示されるようになっている。バーにはランチャのほかに、パネル・アプレットと呼ばれる常駐型のアプリケーションを追加することができ、これはシステムの状態や天気予報など、さまざまな対象をモニタする目的によく利用される。
その他に利用可能な機能としては、複数のデスクトップ環境を同時に利用可能な仮想デスクトップ機能などを備えている。
開発体制
編集GNOMEプロジェクトは、他の多くのソフトウェアプロジェクトよりも緩い関係を持った組織である。GNOMEアーキテクチャ、GNOMEアプリケーションはそれぞれ独自のバージョンとリリーススケジュールを持つ。ただし、これらは半年ごとのGNOME全体の安定版リリースに合わせて、協調して開発が進められる。2000年に設立されたGNOME Foundationは管理作業やリリースを調整したり、GNOMEに含めるプロジェクトの決定を行なう。また、freedesktop.orgではデスクトップ環境間での知識や技術を共有するために標準的な技術を公開しているが、これらがGNOMEに取りこまれることもある。プロジェクトに関わる開発者が集うGUADECという年次総会がある。
ユーザビリティ
編集GNOMEプロジェクトでは、ユーザビリティの原則を定めたガイドライン、GNOME Human Interface Guidelines[7]に従って開発が進められている。
ここでは、細かすぎるインタフェースはコストが高くなりがちであるとして、注意深く取捨選択することが推奨されている[8]。この点について、リーナス・トーバルズは「ユーザーをバカだと看做すGNOMEの姿勢は根本的に誤りである」として批判している[9]。
評価
編集GNOME 2までは、無数のLinuxディストリビューションで標準となり、安定したデスクトップという評価が高かったが、GNOME 3からは、批判的な意見が多い。Linuxカーネル開発者のリーナス・トーバルズも、デスクトップ環境をXfceに移して批判していた(現在は、GNOME 3に戻っている)。そのため、CinnamonやMATEといったGNOMEからフォークした新しいデスクトップ環境が開発されている。
歴史
編集開発当初、GNOMEはライバルのKDEと同じく、Windows風のインタフェースを備えていたが、2.8から先、コアアプリケーションであるファイルを始めとして、徐々にmacOS風のインタフェースを備えるようになった。この変更は賛否を各地で呼んだが、開発は留まること無く続けられている。
なお、GNOMEのバージョンは偶数バージョンのリリース版の他に、開発者向けとみられる奇数バージョンがある。半年ごとに新バージョンがリリースされる。
- 1997年8月 - ミゲル・デ・イカザとフェデリコ・メーナがGNOMEの開発を開始。1996年10月に開発が始められたKDEに触発されたものと言われている。
- 1999年3月 - 1.0 - 最初のメジャーリリース
- 1999年10月 - ミゲル・デ・イカザとナット・フリードマンによりInternational Gnome Support社(後にHelix Code、さらにその後Ximianと改名)が設立。就業を希望するGNOMEハッカーを次々と雇用し商業化を果たす。
- 2000年5月 - 1.2 - "Bongo"
- 2000年8月 - GNOME Foundation設立
- 2001年4月 - 1.4 "Tranquility"
- 2001年7月 - GNOMEアプリケーションの生産性の向上を掲げ、MONOがオープンソースにて公開。
- 2002年6月 - 2.0 - GTK+2ベースへのアップグレード
- 2003年2月 - 2.2 - マルチメディア(GStreamerの採用)とファイルマネージャの向上。
- 2003年3月 - MonoDevelop公開。SharpDevelopというWindowsに依存したオープンソースの.NET Framework統合開発環境をWindows FormsからGTK#に移植。
- 2003年9月 - 2.4 - Epiphany、アクセシビリティサポート
- 2004年3月 - 2.6 - Nautilusがスペーシャルモードヘ移行、新しいGTKファイルダイアログの採用。
- 2004年9月 - 2.8 - リムーバブルドライブ周辺の改良、Evolutionの追加
- 2005年3月 - 2.10 - メモリ消費量やパフォーマンスの改良、新しいアプレットやTotem・Sound Juicerの追加
- 2005年9月 - 2.12 - Nautilusの改良、Evinceドキュメントビューア・メニューエディタ等の追加。cairoを使った GTK+2.8ベースに。
- 2006年3月 - 2.14 - パフォーマンスの改善、検索の強化、Ekigaビデオ会議ソフトや管理ツールPessulusの追加。
- 2006年9月 - 2.16 - Tango Desktop Projectの成果の取り込み、ノートパソコン向けのパワーマネジメントツールの追加、Nautilusの改良
- 2007年3月 - 2.18 "Simply Beautiful" - ゲームアプリの追加、中国語・日本語の縦書きのサポート、キー管理アプリケーションSeahorseの追加
- 2007年9月 - 2.20 - 右から左へ記述する言語のサポートを改善、Evolutionの改良
- 2008年3月 - 2.22 - ウェブカメラソフトCheeseの追加、世界時計、マウスの操作性に関する改良、ユーザ空間の仮想ファイルシステムGVfs
- 2008年9月 - 2.24 - Maemo・LiMo・ALP等の各種モバイルプラットフォームへの対応、モバイル向けウィンドウマネージャMatchboxの追加、インスタントメッセンジャーソフトEmpathyの追加、Nautilusへのタブ機能の追加、サウンドテーマ対応、画面解像度管理の改良
- 2009年3月 - 2.26 - CD/DVD書き込みソフトBraseroの拡張、シンプルなファイル共有プラグイン、マルチモニタとプロジェクタのサポート、PulseAudioに統合されたボリュームコントロール
リリース(これまでの公開版)
編集以下は、これまでに公開された主な安定版である。ユーザガイドやリリースノートには、それぞれの特徴が詳細にまとめられてある。
- GNOME 1.0 - 1999年3月3日[10]
- GNOME 1.2 - 2000年5月[11]
- GNOME 1.4 - 2001年4月[12]
- GNOME 2.0 - 2002年6月[13] リリースノート
- GNOME 2.2 - 2003年2月6日 リリースノート
- GNOME 2.4 - 2003年9月[14] リリースノート
- GNOME 2.6 - 2004年3月31日 リリースノート
- GNOME 2.8 - 2004年9月[15] リリースノート
- GNOME 2.10 - 2005年3月[16] リリースノート
- GNOME 2.12 - 2005年9月 リリースノート
- GNOME 2.14 - 2006年3月 リリースノート
- GNOME 2.16 - 2006年9月[17] リリースノート
- GNOME 2.18 - 2007年3月[18] リリースノート
- GNOME 2.20 - 2007年9月19日[19] リリースノート
- GNOME 2.22 - 2008年3月12日[20] リリースノート
- GNOME 2.24 - 2008年9月24日[21] リリースノート
- GNOME 2.26 - 2009年3月18日[22] リリースノート
- GNOME 2.28 - 2009年9月23日[23] リリースノート
- GNOME 2.30 - 2010年3月31日[24] リリースノート
- GNOME 2.32 - 2010年9月29日 リリースノート
- GNOME 3.0 - 2011年4月6日 リリースノート
- GNOME 3.2 - 2011年9月28日 リリースノート
- GNOME 3.4 - 2012年3月28日 リリースノート
- GNOME 3.6 - 2012年9月26日 リリースノート
- GNOME 3.8 - 2013年3月27日 リリースノート
- GNOME 3.10 - 2013年9月25日 リリースノート
- GNOME 3.12 - 2014年3月26日 リリースノート
- GNOME 3.14 - 2014年9月 リリースノート
- GNOME 3.16 - 2015年3月 リリースノート
- GNOME 3.18 - 2015年9月 リリースノート
- GNOME 3.20 - 2016年3月 リリースノート
- GNOME 3.22 - 2016年9月 リリースノート
- GNOME 3.24 - 2017年3月 リリースノート
- GNOME 3.26 - 2017年9月 リリースノート
- GNOME 3.28 - 2018年3月 リリースノート
- GNOME 3.30 - 2018年9月 リリースノート
- GNOME 3.32 - 2019年3月 リリースノート
- GNOME 3.34 - 2019年9月 リリースノート
- GNOME 3.36 - 2020年3月 リリースノート
- GNOME 3.38 - 2020年9月 リリースノート
- GNOME 40 - 2021年3月 リリースノート
GNOMEアーキテクチャ
編集GNOMEアプリケーション
編集- GNOME Office 以下の3ソフトウェアから構成される。
- Anjuta - 統合開発環境
- Banshee、Rhythmbox、ビデオ - メディアプレーヤー
- Beagle - デスクトップ検索
- Brasero - ライティングソフト
- Dasher - コンピュータアクセシビリティツール
- Dia - ダイアグラムエディタ
- Ekiga - インターネット電話クライアント
- Evince - ドキュメントビューワ
- Evolution - Personal Information Manager
- Galeon - ウェブブラウザ
- gedit - テキストエディタ
- GnomeBaker - ライティングソフト
- GNOME 端末 - 端末エミュレータ
- GnuCash - 財務管理(金銭管理)ソフト
- nano - テキストエディタ
- Pan - ニュースリーダ
- Web - ウェブブラウザ
- Sound Recorder - サウンドレコーダー
- ファイル - ファイルマネージャ
構成要素
編集- ランチャー・パネル・ウィンドウの管理
- GNOME パネル (GNOME 2)
- GNOME Shell (GNOME 3)
- ウィンドウマネージャ
関連項目
編集外部リンク
編集英語
- GNOMEプロジェクト
- GNOME Applications GNOME公式アプリケーション・リスト[25]
日本語
- 日本GNOMEユーザ会
- GNOME ドキュメントライブラリ(一部英語)
脚注
編集- ^ "GNOME 47.2 released"; 作品または名前の言語: 英語; 出版日: 2024年12月7日; 閲覧日: 2024年12月12日.
- ^ “The GNOME Open Source Project on Open Hub: Languages Page”. www.openhub.net. 26 December 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。29 March 2019閲覧。
- ^ Sandler, Karen (26 March 2014). “Introducing GNOME 3.12”. GNOME Project. YouTube. 21 December 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。2 July 2014閲覧。
- ^ Clinton, Jason (2 April 2011). “GNOME 3: Fewer interruptions”. GNOME Project. YouTube. 21 December 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。7 April 2011閲覧。
- ^ “How do I pronounce GNOME?”. Massachusetts Institute of Technology. 13 September 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。13 September 2022閲覧。 “Since GNU is GNOME's first name, GNOME is officially pronounced "guh-NOME". However, many people pronounce GNOME as just "NOME" (like those short people from legend), nobody will hurt you if you find this pronunciation easier.”
- ^ GNOME 3 and panel applets
- ^ The GNOME Project. “GNOME Human Interface Guidelines”. 2019年9月13日閲覧。
- ^ The GNOME Project. “Design principles”. 2019年9月13日閲覧。
- ^ Torvalds, Linus (2005年12月12日). “[Usability Re: [Desktop_architects] Printing dialog and GNOME]”. 2009年11月9日閲覧。
- ^ https://www.gnome.org/press/1999/03/gnome-1-0-released/
- ^ https://www.gnome.org/press/2000/05/gnome-1-2-bongo-gnome-unleashed/
- ^ https://www.gnome.org/press/2001/04/gnome-1-4-released-desktop-environment-boasts-power-stability-polish-and-integration/
- ^ http://mail.gnome.org/archives/desktop-devel-list/2002-June/msg00592.html
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2003-September/msg00062.html
- ^ https://www.gnome.org/press/2004/09/gnome-2-8-released/
- ^ https://www.gnome.org/press/2005/03/gnome-2-10-released/
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2006-September/msg00042.html
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2007-March/msg00056.html
- ^ http://arstechnica.com/news.ars/post/20070919-gnome-2-20-officially-released.html
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2008-March/msg00060.html
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2008-September/msg00132.html
- ^ http://mail.gnome.org/archives/gnome-announce-list/2009-March/msg00091.html
- ^ Stormy Peters (2009年9月23日). “Made to Share! GNOME 2.28 Released!”. The GNOME Project. 2017年7月17日閲覧。
- ^ Stormy Peters (2010年3月31日). “GNOME Project Updates Free Desktop with 2.30 Release”. The GNOME Project. 2017年7月17日閲覧。
- ^ This page is a listing of GNOME-related projects and their related web pages.