がん免疫総合研究センターの開所式が開催されました
2024年11月12日(火)、がん免疫治療の新たな研究拠点となる「がん免疫総合研究センターBristol Myers Squibb棟」が完成し、開所を記念する式典が行われました。
がん免疫総合研究センターは、2020年4月に設立されました。2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑特別教授がセンター長を務め、免疫学の基本原理の解明と、次世代のがん治療の向上を目指して研究に取り組んでいます。研究の中核となる施設が開設されたことにより、これまで医学研究科内の複数の場所に分散していた研究者が一堂に会し、研究が加速することが期待されます。
式典にはオンライン参加も含めて、国内外からがん免疫研究にかかわる研究者ら約250名が参加。湊長博総長は開会の挨拶で「世界のがん治療にまったく新しい道を切り開いた免疫チェックポイント療法の基本コンセプトは、京都大学のこの地に始まった。免疫学研究チームの日夜を問わぬ研究によって完成されたことを心から誇りに思う」と述べました。さらに、開拓者の責任として「新しい研究施設でがん免疫研究の新しいステージに向けてさらに道を開くことを期待する」と激励しました。続いて、伊佐正医学研究科長は「本庶先生の発見により、がん免疫学の研究は日本がリードすることとなったが、激しい国際競争の中でこれからも世界をリードしていくために、より一層研究体制や基盤の充実を図る必要がある」として、支援を呼びかけました。
本庶センター長は、関係者挨拶の最後に登壇しました。新棟建設への支援に感謝を述べるとともに、今後の研究についても説明しました。がん免疫療法の改善や、治療が効くかどうかを予測する方法の開発など免疫療法の進展に加えて、新たな免疫メカニズムの解明に挑戦するとしています。最後に「2050年までに人類を救うがん治療法の開発を目指す。私たちの今後の活動にご期待ください」と話しました。
同棟の設計を手掛けたのは建築家の安藤忠雄氏です。安藤氏は式典で「この場所から新たなる本庶先生のような方が登場し、世界に向けて発信することを願いながら設計させていただいた」と祝辞を述べました。
同棟は、地上5階、地下1階、延べ床面積9,500平方メートル。建物の外観は、免疫細胞を意識した円形で、細胞膜をイメージした優しいクリーム色の外観が特徴です。1階には展示室も設けられ、本庶センター長の経歴、実験ノートや論文などノーベル賞受賞に至るまでの研究の軌跡、今後の研究の展望を記したパネルなどが展示されています。どなたでもご覧いただけますので、どうぞお立ち寄りください。
同センターの研究活動を推進するため、京都大学は「がん免疫治療研究基金」を設立しています。同センターの研究活動に使用されます。同基金の詳細はこちらをご覧ください。